1913年にロシア帝国で発行された「ロマノフ王朝300周年記念ルーブル銀貨」は、ロマノフ朝の300年に及ぶ歴史を称え、皇帝ニコライ2世の治世下で鋳造された貴重な記念硬貨です。 この銀貨は、純度90%の銀で作られ、重量20g、直径33.65mm、厚さ2.5mmと標準的な仕様を持ちます。サンクトペテルブルク造幣局で発行され、発行当時のミントマスターはヴィクトル・スミルノフでした。 表面（オブバース） コインの表面には、左側に近衛第4歩兵連隊の軍服を着たニコライ2世、右側には王冠と王衣を身にまとった初代ロマノフ朝の皇帝ミハイル1世が並んで描かれています。両者の肖像はギリシャ風の装飾枠で囲まれ、当時の彫刻家M.A.ケルジンによって精巧に刻まれました。 裏面（リバース） 裏面にはロシア帝国の小型国章が中央に描かれ、その上に通貨単位である「РУБЛЬ」（ルーブル）が刻印されています。下部にはロマノフ王朝が始まった1613年と記念年である1913年が並び、周囲は表面同様にギリシャ風の装飾で縁取られています。 エッジ（縁） 銀貨のエッジには「ЧИСТАГО СЕРЕБРА 4 ЗОЛОТНИКА 21 ДОЛЯ（純銀4ゾロトニク21ドリャ）」と刻印されており、純銀重量は約18.014gです。 発行背景とバリエーション この銀貨は、ロマノフ王朝の歴史を記念するために発行されましたが、ロシア革命により1917年には廃貨となりました。初期の「平坦な刻印」と、後期の「凸型刻印」でより立体的な肖像が描かれた2つのバリエーションが存在し、コレクターの間でも非常に高い人気を誇ります。 ロマノフ朝の最後の皇帝であるニコライ2世の統治と、その後の帝国の終焉を象徴するこの記念銀貨は、歴史的・文化的価値だけでなく、銀貨そのものの希少性からも高い評価を受けています。